良かれと思って昇給やボーナスを出したのに、
なぜか辞めていく。
あるいは、やる気が続かない。
もしあなたがそんな経験をしたことがあるなら、
今日の話は知っておいて損はありません。
実は、お金での還元が逆効果になることが、
心理学の実験で証明されているのです。
「お金で報いる」が裏目に出る構造
社員や職人に感謝を伝えたい。
その気持ちは素晴らしいものです。
しかし、その伝え方を間違えると、
せっかくの還元が逆効果になります。
給与を上げた直後は喜ばれる。
でも半年もすれば「当たり前」になる。
そして業績が厳しくなり、
ボーナスが出せなくなった途端、
「前はもらえたのに」と不満に変わる。
これは従業員の性格の問題ではありません。
人間の心理がそうなるように、構造的にできているのです。
1つ目:ご褒美の「約束」がやる気を壊す
心理学者リチャード・E・ニスベット博士の有名な実験があります。
子供たちに絵を描いてもらう実験です。
事前に「上手に描いたらご褒美をあげる」と伝えたグループ。
最初は誰よりも熱心に絵を描きました。
しかし数週間後、
ご褒美なしで絵を描いてもらうと、
このグループだけが絵に興味を示さなくなったのです。
ご褒美を「約束」すると、行動の目的がご褒美に変わってしまう。
だからご褒美がなくなると、やる気も消える。
「売上を上げたらボーナス」
「新規を取ったらインセンティブ」
よくある制度ですが、
これが長期的にはやる気を削ぐ原因になりえるのです。
2つ目:お金は「比較」を生みやすい
お金での還元には、
もう一つ厄介な性質があります。
金額は誰が見ても明確で、比較されやすい。
「自分より後輩の方が多い」
「あの人と同じ仕事なのに差がある」
こうした比較が始まると、
還元したはずが不満の種になります。
特に中小企業では、
評価基準が曖昧になりがちです。
社長の感覚で「頑張っているから」と差をつけると、
もらえなかった側は納得できません。
お金は感謝の形としてわかりやすい反面、
公平さへの疑念を生みやすいのです。
3つ目:一度上げると下げられない
給与やボーナスは、
一度上げると簡単には下げられません。
業績が好調な時に上げた水準を、
苦しい時に維持できるか。
私がコンサルティングで見てきた中にも、
「還元しすぎて資金が回らなくなった」
という会社がありました。
お金での還元は、資金管理の視点からもリスクが大きいのです。
感謝を伝えたいなら、
お金「以外」の方法を持っておくことが経営の安定につながります。
お金に頼らない還元で変わった3つの現場
では、実際にお金以外の還元で成果を出した事例を見てみましょう。
どれも「心理の設計」を変えたことで、
従業員の定着やモチベーションが改善したケースです。
事例1:ボーナス増額をやめた工務店
ある工務店では、
毎年ボーナスを増やして職人に還元していました。
しかし離職は止まらず、
「もっと出せるはずだ」という不満も出ていました。
ボーナスの増額をやめ、
サプライズで感謝を伝える方法に変えたところ、
雰囲気が変わりました。
Before: 毎年ボーナス増額も「当たり前」になり不満が蓄積
After: 金額を固定し、成果に応じたサプライズ還元に変更
具体的な変化: 予告なしの食事会招待や道具のプレゼントを実施
結果: 1年で離職率が半減、職人から「大事にされている」との声
事例2:インセンティブ制度を見直した外壁塗装業者
ある外壁塗装会社は、
新規契約ごとにインセンティブを出していました。
しかし社員同士の競争が激化し、
チームワークが崩れていました。
制度を見直し、
チーム単位での還元に変えたことで流れが変わりました。
Before: 個人インセンティブで社員間の協力が減少
After: チーム成果に対するサプライズ還元に変更
具体的な変化: 月間目標達成時に全員参加の体験イベントを実施
結果:社内の協力体制が改善し、離職希望者がゼロに。副次的に成約率も向上
事例3:給与で引き留めようとしていた設計事務所
ある設計事務所では、
優秀な設計士の離職を防ぐため給与を上げていました。
しかし「お金で引き留められている」
という感覚が設計士に伝わり、
かえって関係がぎこちなくなっていました。
給与は据え置き、
日常的な感謝と成長機会の提供に注力したところ、
設計士の意識が変わりました。
Before: 離職防止のため給与を上げるも、かえって距離感が生まれる
After: 給与は据え置き、日常的な感謝と成長機会の提供に注力
具体的な変化: スキルアップ研修への参加支援や、成果への言葉での承認を強化
結果: 「ここで成長したい」という声が増え、3年間離職ゼロを達成
まとめ
社員や職人への感謝をお金で表そうとする。
その気持ちは間違っていません。
しかし、
お金での還元は「約束」になった瞬間、
逆効果に変わるリスクがあります。
ご褒美は、
予告なしのサプライズとして届ける。
お金ではなく、体験や物で届ける。
そして結果に対して届ける。
この順番と方法を設計することで、
同じコストでも効果はまったく違ってきます。
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【編集後記】
鈴木が今まで指導したご褒美作戦の要点を
ここに書けなかった2点も追加して公開します。
1.出した結果に対しご褒美を渡しましょう。
間違っても
「性格が良い」とか「頑張っている」
などの何を基準にしたのかわからないことに
ご褒美を出さないでくださいね。
2.ランダムにサプライズとして渡しましょう。
毎回は良くありません。
毎回やったら、すぐ慣れてしまいます。
3.ご褒美は、物やマッサージなどの体験や
会社入り口に一番近い駐車スペースに一定期間移動などの利便性にしましょう。
お金は金額の過多が明白なので一番良くありません。
4.どのようなご褒美にするかは社長と経理部や上層部で話し合っておきましょう。
利便性をご褒美にしても、社員同士は他者と比較します。
ですので、一定の基準を作っておくことも重要です。
5.ご褒美の発動や内容が事前に漏れないようにしましょう。
できれば、毎回変えましょう。
日本経済が右肩上がりの時は、
お金で報いても問題はありませんでしたが、
今はやってはいけません。
どの業種でも同じです。
営業職の離職率が高い原因の一つも、
実はこのお金での還元にあります。
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